一年生で学ぶ「時刻と時計」

一年生で学ぶ「時刻と時計」です。先取り学習しないかたのために、学年ごとに分けていますが、一度に学習させてもいいと思います。


時刻と時計は足し引きが終わってから教えよう!

小1から、時刻と時計を学習します。
計算するので、つぎのことが終わってからにするといいでしょう。

・1桁の足し引き
・桁の数、数直線など

なお、低年齢の子どもに時刻と時計を教える際、アナログ時計を使うのはお勧めしません。
短針と長針があってややこしいですし、計算はデジタル時計を中心にしたほうがわかりやすいためです。
デジタル時計で時刻と時計がわかったあとに、教えるほうが効率的かつ効果的です。


ただ、小学校では小1でもアナログ時計の問題が出てきます。
そこで、ここでは「時刻と時計でおさえておきたいことをデジタル時計で教える → 小学校で出てくるアナログ時計の問題を解けるようにする」の流れにしています。

デジタル時計は「時間:分 秒」だと教えよう!

まずは、デジタル時計が「時間:分 秒」であることを教えてください。



そして、ふだんの生活で時刻を意識させましょう。
具体的には、デジタル時計を目に見えるところに置いておいて、「いま、何時?」「いま、何分?」「いま、何時何分?」とだけ聞くといいでしょう。

時の流れを教えよう!

デジタル時計を読めるようになれば「時間の流れ」を教えます。
まずは、デジタル時計を子どもの前に置いてください。

つぎに「時間が経つと、ここにある数字はどうなると思う? 時計を見てて」と言って、つぎのことを確認してください。

時間が経つと、数字が増えていくこと
「ほら、1秒、2秒、3秒…と、時間が経てば、数字は増えていっているよね」

60秒にならずに0秒になること
「…58秒、59秒、見て! そのつきは0秒に戻ったよね」

60秒になると0秒になるとともに、1分増えること
「0秒に戻ったら、1分増えているよね」

※なお、この際、「0秒に戻ること」が納得できない子どももいます。
その場合は、繰り上がりと同じだと教えるといいでしょう(60秒で1分に繰り上がる)。

これが理解できれば、つぎのことを教えてください。

【覚えさせてほしいこと】60分で0分になること。そして、1時間増えること
【覚えさせてほしいこと】60秒で0秒になること。そして、1分増えること
※12時制、24時制、午前と午後の概念などは、あとで教えます。

なお、現時点では、たとえば「1時間15分は何分?」「80分は何時間何分?」のような、本格的な「時間と分を変換する方法」を教える必要はありません。
小2で学習します。

太陽の動きを教えよう!

つぎの図を見せてください。



そして、つぎのような会話をしてください。

親「朝はやく起きたことあったっけ? 朝って暗いんだよ。そのあと、どうなると思う?」
子ども「明るくなってくる」
親「なんでだと思う?」
子ども「?」
親「お日様、つまり太陽のことね。太陽がでてくるからなんだ。そのあと、太陽は、どこにいくと思う?」
子ども「?」

つぎの図を見せてください。



そして、つぎのような会話をしてください。

親「こうやって、太陽がのぼって、またおりていくんだよ」

つぎの図を見せてください。



親「こうやって、太陽は沈んでいくんだ。太陽が見えなくなればどうなると思う?」
子ども「暗くなる」
親「そう。そのあとはどうなると思う? ずっと暗いまま?」
子ども「また朝になる」
親「そう」

このように図を使って、太陽の動きを教えましょう。

ちなみに、「夜、太陽はどこにあるの?」「どうして太陽はのぼって、また沈んでいくの?」などと、子どもが疑問に思えば地球と太陽の関係、地球の自転を教えるといいですよ。
子どもが疑問や興味をもったときがチャンスですから。

<教えかたの例>
・大きめのボールと懐中電灯を用意する
・マーカーでボールに「点」を描く
・子どもに「懐中電灯が太陽、ボールが地球ね。ここ(マーカーの点)が自分たちが住んでいるところね」と言う
・部屋を暗くして、懐中電灯の光をボールにあてる
・「太陽の光が当たっているときが朝から夕方まで。ボールがまわると、光が当たらないよね。それが夜」と教える

ただ、この際、子どもが「もういい」と言った時点で話すのをやめるようにしましょう。無理は禁物です。

【目標】1日の太陽の動きがわかる


太陽の動きと日常生活を紐づけよう!

太陽の動きがわかれば、つぎは日常生活と紐づけていきます。
まずは、つぎの図を見せてください。



そして、つぎのような会話をしてください。

親「コレ、朝だよね。朝って何をする?」
子ども「ご飯を食べる?」
親「ほかには?」
子ども「歯を磨いて、学校にいく?」
親「そう」

このような感じで「朝にしていること」を話させてください。
つぎに、つぎの図を見せてください。



そして、つぎのような会話をしてください。

親「コレ、昼だよね。昼には何をする?」
子ども「ご飯を食べる?」
親「ほかには?」
子ども「休み時間、みんなで遊んで…」
親「そう」

先ほどと同じように「昼にしていること」を話させてください。
そして、つぎの図を見せてください。



そして、つぎのような会話をしてください。

親「コレ、夕方だよね。夕方には何をする?」
子ども「友達と遊んでたけど、家に帰るとか?」
親「ほかには?」
子ども「ご飯を食べる」
親「そう」

先ほどと同じように「夕方にしていること」を話させてください。

以上のことは、大人にとっては当たり前すぎて「わざわざこんなことを確認しなくても…」と思ってしまいます。しかし、子どもによっては、わかっていないことがあるので、かならず確認するようにしましょう。数分もかかりませんから。

【目標】太陽の動きと日常生活が紐づけられる


太陽の動き、日常生活、デジタル時計を紐づけよう!

最後に、太陽の動き、日常生活、デジタル時計を紐づけていきます。
まずは、かんたんでいいので、紙につぎのように書いて、子どもに渡してください。



そして、つぎの図を見せてください。



つぎのような会話をしてください。

親「朝だよね。朝にはご飯を食べたり、学校にいく準備をしたりするよね。朝ご飯を食べるのは何時ごろだと思う?」
子ども「7時10分?」
親「朝することと時間と分を紙に書いていって」

紙につぎのように書かせてください。
前のページで書いたように、ふだんからデジタル時計で時間を意識させていれば、子どもは書けると思います。


これを「昼」「夕方(夜)」でも同じことをしてください。

【目標】太陽の動き、日常生活、デジタル時計の時間が紐づけられる


午前と午後をなんとなく教えよう!

子どもに、毎日、「朝」と「夕方」、何時に何をしているのか、紙に書き出させてください。



そして、「朝」と「夕方」で、同じ時間があるところを紙に抜き出してください。

(例)同じ6時
・朝、ごはんを食べる→6時
・夕方、ごはんを食べる→6時

子どもに「6時が2つあるよね。『6時』だけだと、朝ごはんのことか、夕ご飯のことかわからないよね。だから、どちらの6時なのかわかるように、朝の6時の前には『午前』をつけて午前6時、夕方の6時の前には『午後』とつけて午後6時にするんだ」と教えてください。
そして「じゃあ、さっきの紙に書いた時間に午前と午後をつけてみて」と言ってください。子どもも「朝には午前」「夕方には午後」と気がつくと思います。



つぎは、つぎのように紙に書いて「じゃあ、午前と午後を書いてみて」と言ってみましょう。



この紙の書きかただと、昼で午前から午後に切り替わると気がつくと思います。
全問正解でも不正解があっても、子どもが書き終われば紙につぎのものを書いて、それを見せながら「お昼の12時までは『午前』、1時からは『午後』をつけるんだ」と言って、覚えさせましょう。



ちなみに、12時は正午ですが、わかるようなら教えてください。

【目標】昼の12時までには時間の前に「午前」、1時から時間の前に「午後」をつけるとわかる


12時制と24時制を、なんとなく教えよう!

子どもに先ほどの解答(下図)を見せながら、「さっきは朝の6時と夕方の6時のどちらかわからないから、午前と午後をつけたよね」と言ってください。



紙に下図を描いて、子どもに見せながら「でも、めんどうだよね。12のつぎは13なんだから13時、そのつぎは14なんだから14時にすればいいよね。そういう時間の数えかたもあるんだ」と言ってください。



つぎのように、先ほどの図2つを並べて、「でもね。ほら見てごらん。2時と14時は同じ時刻なんだけど…。同じ時刻ってわからないよね」と言ってください。
そして、「大きいほうから12を引けばいいんだけど…。それはまた今後勉強しよう」と言って話を切り上げましょう。


(参考)なぜ、12時制と24時制をきちんと教えないのか?
日常生活では、12時制と24時制の2つが混在しています。
それを子どもも見ていて、特に時刻と時間を習ったあと、これに疑問に感じることがあります。
本来なら、12時制と24時制もきちんと教えるべきです。
しかし、一年生には難しいので、無理に教えるとかえってわからなくなることがあります。
だから「そういうものがあるんだ」くらいにしておくわけです。
とはいえ、子どもが理解できるようなら教えてしまっても構いませんが(二年生のページに教えかたがあります)。

【目標】12時制だけではなく、24時制もあるんだ、と、なんとなくわかる


アナログ時計を教える前に、まずは準備しよう!

つぎのことを子どもに教えてきました。

・デジタル時計の「時間」「分」「秒」がわかる
・60分になれば0分になって、1時間増えることがわかる
・太陽の動き、日常生活、時間が紐づけられている
・午前と午後、12時制と24時制が、なんとなくわかる

まずは、今までのことがわかっているのか確認してください。

つぎに、100均で、実物のアナログ時計を買ってください。
アナログ時計は子どもにとっては「難解なもの」なので、実物があったほうがわかりやすいためです。


最後に、A4でもB4でもいいので、紙につぎの図を描いて、いくつかコピーしてください(以降、この紙のことを「時計の練習の紙」と呼びます)。



これで準備完了です。

アナログ時計の基本を覚えさせよう!

まずは、アナログ時計を見せながら、つぎのことを覚えさせてください。

・短針→時間
・長針→分
・秒針→秒

そして、短針を読むときの目盛り(0から12まで)、長針と秒針を読むときの目盛り(0から60まで)も教えて、覚えさせましょう。
この際、分と秒は「5、10、15…」と5刻みで数えるといいとも教えるといいでしょう(この数えかたは、「100などの大きな数で、数の感覚をつかもう!」で、すでに教えていると思います)。

それができればアナログ時計を「7時」にセットして「いま、短針はどこを指している? 長針はどこを指している?」と聞いてください。

「7時0分だよね。だから、短針は7時、長針は0分のところを指しているんだ」と教えてください。

つぎに、アナログ時計を「8時」にセッして同じことを繰り返してください。

それができれば「9時」にセット、「10時」にセットと繰り返していって、「もう大丈夫かな」と思えば、アナログ時計を「8時10分」にセットしてください。

そして、「いま、短針はどこを指している? 長針はどこを指している?」と聞いてください。

「長針は0分。短針は8と9の間にあるよね」と確認してください。
8時10分は、8時と9時の間だよね。だから、短針は8と9の間にあるんだ」と教えてください。

【目標】アナログ時計の長針と短針、それぞれの読み方がわかる


アナログ時計を書いて覚えさせよう!

「時計の練習の紙」を出してください。
そこに、つぎのように「朝すること」と「時間」を書きこませてください。
この際、「分」は書かせないでください。

(例)<朝>
ごはんを食べる → 7時
学校にいく → 8時
※7時10分などのように、「分」はまだ書かせないでください。

これができれば、実物のアナログ時計を渡して、つぎのようにして時計の練習の紙を完成させましょう。

(例)ごはんを食べる → 7時 → (ココを完成させる場合)
・子どもに実物のアナログ時計の長針をまわさせて7時にさせる
・子どもに、それを見ながらアナログ時計の欄(図)を書かせる

これが終われば「夕方すること」と「時間」を書きこませてください。
今度は、「7:10」のように分刻みで書かせましょう。

あとは、先ほどと同じように、実物のアナログ時計の長針をまわさせて、時間をつくって、それを見ながら紙のアナログ時計の欄を埋めさせましょう。

(例)ごはんを食べる → 7時10分 → (ココを完成させる場合)
・子どもに実物のアナログ時計の長針をまわさせて7時10分にさせる
・子どもに、それを見ながらアナログ時計の欄を書くように言う

この際、短針には注意を払うように言いましょう。
先ほど書いたように、たとえば7時10分は「7時」と「8時」の間なので、短針も7時と8時の間に書くようにいってください。

【目標】アナログ時計の時間を書けるようになる


短針の動きを教えよう!

アナログ時計を「7時」にあわせて、子どもに「短針は7時」「長針は0分」を指していると確認させてください。

そして、アナログ時計を子どもに見せながら、長針をぐるりと1回転させて、「短針はどこを指している? 長針はどこを指している?」と聞いてください。

「短針は8時」「長針は0分」のところを指していますね。
それを確認させて「長針がぐるりと1回まわったら、短針が7時から8時に変わったよね。1時間、進んだよね」と言ってください。
そのあと、つぎのようにさせてください。

・7時のアナログ時計の図を描く
(長針を1回ぐるりとまわした)
・短針が動いた。7時が8時になった。1時間進んだ
・8時のアナログ時計の図を描く

「じゃあ、また長針を1回ぐるりとまわすと、どうなると思う?」と聞いてください。

短針が1時間だけ進んで「9時」になるとわかると思います。
※わからなければ、また長針を1回ぐるりとまわして、同じことを聞いてください。

【目標】
・長針が1回まわると1時間進むとわかる


長針の動きを教えよう!

何時でもいいので、長針が「0分」のところを指すようにしてください。
そして、子どもに長針を見せながら「10分」のところに針を進めて、「いま、何分?」と聞いてください。
子どもは「10分」と答えると思います。

同様に、長針を「30分」のところまで針を進めて、「いま、何分?」と聞いてください。
子どもは「30分」と答えると思います。

同様に、長針を「55分」のところまで針を進めて、「いま、何分?」と聞いてください。
子どもは「55分」と答えると思います。

ここからは刻んでいきます。
長針を「58分」のところまで針を進めて、「いま、何分?」と聞いてください。
子どもは「58分」と答えると思います。
同様に「59分」ところまで針を進めて、「いま、何分?」と聞いてください。
子どもは「59分」と答えると思います。

そして、「0分」のところに針をあわせて、子どもに「ほら、0分に戻ったよね」と言ってください。
「長針が0分からぐるりと1回まわると、短針が1進むんだよね。つまり1時間進むんだよね」と確認して、紙につぎのことを書いてください。

・長針は0分からはじまって60分で1回転。また0分になる
・そのとき、短針が1時間だけ進む
→60分で1時間

これを何度か繰り返して教えてください。

【目標】
・長針が1回まわると1時間進むとわかる。


長針の動きの応用!

「じゃあ、長針を1回、逆にまわすと、どうなると思う?」と聞いてください。
「先ほどと逆だから、1時間戻るよね」と言って、実物のアナログ時計の長針を1回逆にまわしてください。
実物を見ると、子どもも納得すると思います。

【目標】
・長針が1回逆にまわすと、1時間戻るとかわる


角度を変えたアナログ時計の短針と長針の動きかた

子どもに「長針を半分だけ回すと、何分、進むと思う?」と聞いてください。

わからないと言うかもしれません。
その場合は、アナログ時計で長針を半分だけ進ませるといいでしょう。
30分ですね。



では、「長針を半分だけ戻すと、どうなると思う?」と聞いてください。

先ほどの逆なので「30分だけ時間が戻る」ですね。

【目標】
・長針が半分だけまわると30分進むとわかる
・長針が半分だけ逆にまわすと、30分戻るとかわる

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