線分図の描きかたを教えよう!

ここでは線分図の描きかたを教える方法を説明します。
未知数もありますが、中学受験を考えているのならば、少しずつ慣れさせましょう。


まずは、足し算と引き算の応用として解かせよう

つぎの問題、大人は方程式で解くと思いますが、小さな子どもには線分図で解かせたほうがいいです。

・□+2=8
・□−8=2
・18−□+4=12

というわけで、線分図の教え方を解説したいところですが、実はこの手の問題は子どもに頭を使って考えさせることもできます。
線分図を教える前に、つぎのような問題をつくって子どもに解かせましょう。

□にあてはまる数字は?
(1)□+2=8
(2)5+□=12
(3)□−8=2
(4)12−□=8

子どもには、つぎのように考えさせます。

(1)
・□は3だと「3+2=5」で「8」にならないからちがう…。
・□は4だと「4+2=6」で「8」にならないからちがう…。
・□は5だと「5+2=7」で「8」にならないからちがう…。
・□は6だと「6+2=8」で「8」になる! 答えは6だ!

(2)
・□は5だと「5+5=10」で「12」にならないからちがう…。
・□は6だと「5+6=11」で「12」にならないからちがう…。
・□は7だと「5+7=12」で「12」だ! 答えは7だ!

(3)
・□は9だと「9−8=2」で「2」にならないからちがう…。
・□は10だと「10−8=2」で「2」だ! □は10だ!

(4)
・□は3だと「12−3=9」で「8」にならないからちがう…。
・□は4だと「12−4=8」で「8」だ! □は8だ!

演習です。

(1)□+5=8
(2)3+□=8
(3)□+6=12
(4)□+5=12
(5)6+□=14
(6)□−3=5
(7)6−□=4
(8)□−8=5
(9)12−□=5
(10)□−3=9

答えは、つぎのようになります。

(1)□=3
(2)□=5
(3)□=6
(4)□=7
(5)□=8
(6)□=8
(7)□=2
(8)□=13
(9)□=7
(10)□=12


はじめての線分図は積み木で教えよう

矢印を描いた積み木を用意してください。
そして、テーブルに積み木を3個置いて、子どもに数えさせてください。

「3個あるよね!」と確認したら、つぎの図のようにパタンと倒してください。
※積み木がなければ、つぎの図を描いてあげるだけで構いません。その際に積み木3個をパタンと倒したと説明してください。



「これを線(線分)にすると、このようになるよね」と言って、紙につぎの図を描いてください。



これができれば、つぎのような会話をしてください。

親「じゃあ、積み木を2個足したら、積み木はいくつになる?」
子ども「5個?」
親「そう。はじめに積み木が3個あったよね。これに積み木を2個足したら、3+2=5で、5個になるね」
子ども「うん」
親「これをさっきの積み木で考えていこう」

本題。
「最初に積み木が3個あったんだよね。それに2個足してみるね」と言って、紙につぎの図を描いてあげてください。
※積み木があれば積み重ねてあげてください。矢印の色は、3個の積み木とちがう色にするといいです。



「これをさっきと同じようにパタンと倒すね」と言って、つぎの図を描いてあげてください。



「これをさっきの線(線分)で書くと、どうなる?」と言って、子どもに描かせてみてください。
もし子どもが書けなかったら、「このようになるよね」と言って線を描いてあげてください。



これができれば「ぜんぶで積み木5個だよね。だから、このように書けるよね。これを線分図と言うんだ」といって、つぎの図を描いてあげてください。



あとは、話をまとめてあげましょう。

・積み木3個あった。それに2個足した。
・式では「3+2=5」とあらわせる
・その式を線分図でもあらわせる

類題です。
つぎの問を子どもに考えさせましょう。

(問)3+4=7 を、線分図であらわしてください。

図にすると、つぎですね。
子どもがわからないようなら、先ほどと同じ説明をしてあげてください。



このあとは、「7+2=9」のように数字を変えて線分図を書かせてください。

【目標】かんたんな足し算を線分図であらわせるようになる

<補足>
・「積み木をわざわざ積み上げなくてもいいんじゃないの?」と思われたかもしれません。当サイトでは、座標のちょっとした布石にしているので、積み上げています。必要ないと思えば、積み木を横に並べても構いません。


「5−2=3」を線分図であらわしてみよう!

矢印を描いた積み木を5個用意してください。
テーブルに積み木を5個置いてください。
それを、つぎの図のようにパタンと倒してください。
※積み木がなければ、つぎの図を描いてあげるだけで構いません。その際に積み木5個をパタンと倒したと説明してください。



「それを線(線分)にすると、このようになるよね」と言って、紙につぎの図を描いてください。



「ここから積み木を2個とったとするね。赤い矢印の積み木がとった積み木ね」と言いながら、積み木2個の矢印を赤色にしてください。
※つぎの図を描くのでも構いません。



「線分図はこのようになるよね。赤いところがとった積み木ね」と言いながら、つぎの図を描いてください。



「5から2をとったら、残りは3だよね。だから、線分図はこうなるんだ」と言いながら、つぎの図を描いてください。



そして「積み木が5個あって、そこから2個とったときの線分図を描いたよね。これを、ひき算の式にすると、5−2=3。これを線分図にしたら、さっきの図になるんだ」と、まとめるといいでしょう。

類題です。
つぎの問を子どもに考えさせましょう。

(問)8−3=5 を、線分図であらわしてください。

図にすると、つぎですね。
子どもがわからないようなら、先ほどと同じ説明をしてあげてください。



このあとは、「6−2=4」のように数字を変えて線分図を書かせてください。

【目標】かんたんな引き算を線分図であらわせるようになる


リボンで教えるときは「本数」にしよう

「3+2=5」は、つぎのようにリボンを使って説明することもできます。

「リボンが3本あるね」



「これを線分図にするね。3本あるから3と書くんだ」



「『3+2=5』の『+2』は、リボンが2本、加わるということだよね」



「これを線分図にするね。さっきの3に、新しく2が加わるよね」



「リボンはぜんぶで5本あるよね。だから線分図はこうなるよね!」



「5−2=3」は、つぎのようにリボンを使って説明することもできます。

「リボンが5本あるね」



「これを線分図にするね。5本あるから5と書くんだ」



「『5−2=3』の『−2』は、リボンを2本なくすってことだよね。なくすリボンを青いリボンにするね」



「これを線分図にするね。青い部分がなくなるところね」



「5から2なくしたら、3だよね。だから線分図はこうなるんだ」


<補足>
・積み木は個数、リボンは長さのイメージがあるので、小さな子どもにわかりやすい積み木をメーンにしています。ただ、子どもによってはリボンのほうがわかりやすいこともあると思うので、積み木、リボンどちらでも構いません(別のものでも構いません)。
・リボンだと長さ(cm)で教えることもできますが、未就学児や小1だとまだ単位を習っていません。学習が進めば、長さで説明してみるのもいいと思いますが、座標のとき、ややこしく感じるかもしれないので、当サイトでは個数で教えています。まあ、中学生相手に座標を教えるときに「定規を2本用意して。1本は縦にもう1本は横にして」みたいに指導したこともあるので、「どっちでもいいんじゃない」とも思いますが。


□がある式を線分図で描かせよう!

「2+□=5」のような□がある式を、線分図で表せるようにします。

大人は「さっきとほとんど同じじゃん! かんたんだよねー」と思ってしまいますが、□は未知数です。未就学児や小1にとってはかなり難しいことなので、ふつうは理解させることはできないと思います。

そこで、ここでは帰納法などを使って説明します…すなわち、ごまかして説明します。
そうすることで、未就学児や小1でも未知数があっても線分図を描けるようになります。
というわけで、□がある場合の線分図ですが、ここではつぎの4つの線分図の描きかたを説明しています。

・2+□=5
・8−□=3
・□+2=8
・□−2=5

<補足>
「脳の発達を待ったほうがいいんじゃないの?」「無理をして教えなくてもいいんじゃないの?」と思ったかたもいるかもしれません。
しかし、中学受験では、未知数がふつうにでてきます。
何より、今回のような「未知数にほんの少し慣れる機会」をつくればつくるほど、未知数をふつうに使えるようになります。
というわけで、少しずつ慣れさせていったほうがいいと思うので、この時点で教えます。


2+□=5 の線分図の描きかた

まずは「2+3」の線分図を描かせてください。
前のページでしっかり練習していれば、描けると思います。



上図を指し示しながら「2あった。それに3を足したんだよね」と言ってください。
そして、つぎの問題を出してください。

「2あった。それに4を足せば、どうなると思う? 線分図で描いてみて」
「2あった。それに5を足せば、どうなると思う? 線分図で描いてみて」
「2あった。それに6を足せば、どうなると思う? 線分図で描いてみて」

この際、答えの線分図を縦に並べて描かせてください。
※つぎのようになります。



ここからが本番です。
「じゃあ、2あった。□を足した場合を線分図にしてみて」と言ってください。

はじめはポカンとした顔をすると思います。
そこで、2に4を足した場合、2に5を足した場合、2に6を足した場合の線分図を指さしながら、「どこが変わっている? 見比べて」と言ってください。

青いところだと気がつくと思います。
※気がつかない場合は「青いところだよね」と言ってください。

そして「□を足したわけだから、つぎのようになるんだ」と言いながら、先ほどの線分図の下に描いてあげてください。



これで、「わかる」子どもは少ないと思います。
しかし「できる」子どもはいます。

「ワケがわかっていなさそうだけど、できそうだな」と思えば、このまま一気に先に進めてください。
「できなさそう」と思えば、無理する必要はありません。ここは先送りにしましょう。

(問)「4+□」を線分図にしてみましょう。

「4あった。それに□を足した」わけなので、つぎの図になります。



ここまでできれば、つぎの問もも線分図で描けると思います。
子どもに線分図を描かせてみましょう!

(問)「2+□=5」を線分図にしてみましょう。

2+□の線分図はわかりますよね。
これが5なので、つぎのようになります。



類題です。

(問)「4+□=7」を線分図にしてみましょう。

4+□の線分図はわかりますよね。
これが7なので、つぎのようになります。



あとは、たとえば「7+□=10」のように数字を変えて、繰り返し線分図を描かせるといいですよ!

なお、この時点では「わからないけど、できる」の子どもがたいはんだと思います。
繰り返し、線分図を描かせることで「なんとなくわかる」ようになるので、何度も線分図を描かせましょう。

【目標】2+□=5のような式を線分図にできる


8−□=3 の線分図の描きかた

まずは「8−7」の線分図を描かせてください。
前のページでしっかり練習していれば、描けると思います。



上図を指し示しながら「8あった。そこから7を引いたんだよね(7なくしたんだよね)。だから、いま、この青い部分なはいよね」と言ってください。
そして、つぎのように言ってください。

「8あった。そこから6を引けば、どうなると思う? 線分図で描いてみて」
「8あった。そこから5を引けば、どうなると思う? 線分図で描いてみて」
「8あった。そこから4を引けば、どうなると思う? 線分図で描いてみて」

先ほどと同じで、線分図を盾に並べて描くように言ってください。
※つぎのようになります。



ここからが本番です。
「じゃあ、8あった。そこから□を引けば、どうなると思う? 線分図にしてみて」と言ってください。

先ほどの足し算がわかっていれば、すんなり描くと思います。
もしわからなさそうにしていれば、先ほどと同様に、8から6を引いた場合、8から5を引いた場合、8から4を引いた場合の線分図を指さしながら、「どこが変わっている? 見比べて」と言ってください。

そして「青いところだよね」と言いつつ「□を引いたわけだから、つぎのようになるんだ」と教えてあげてください。



これができれば、つぎの問題を解かせてください。

(問)9−□=2 を線分図にしましょう。

9−□の線分図は描けると思います。
あとは、どこが2なのか、子どもに考えさせる必要があります。

まずは、9−□の線分図を描かせてください。



「9から□を引いたということは、9から□をとったわけだよね。残りはどこ?」と聞いてください。
わからないようなら、「9の長さのひもがあったとするね。そこから□だけ引くということは、□の長さだけ、チョキンと切ったってこと。残っているのはどこ?」と聞いてください。

「青いところ」と気がつくと思います。

「そこが2とあるよね。だから、このようになるんだ」と教えてください。



類題です。

(問)6−□=1 を線分図で描かせてみましょう。


つぎのようになります。



あとは、たとえば「9−□=2」のように数字を変えて、何度も線分図を描かせましょう。

【目標】8−□=5のような式を線分図にできる


□+2=8の線分図の描きかた

「□+2=8」は、「2+□=8」として線分図を描かせることもできますが、未知数に慣れさせるために別の解法を教えましょう。

さて、紙につぎの図を描いてください。
そして「もともと3個あったんだよね。それに2個を加えたら、こうなるよね」と言ってください。



「だから、3+2を線分図にすると、こうなるんだ」と教えてください。



「じゃあ、もともと4個あったんだよね。それに2個を加えたら、どうなる? こうなるよね」と言って、つぎの図を描いてください。



「じゃあ、もともと5個あったんだよね。それに2個を加えたら、どうなる? こうなるよね」と言って、つぎの図を描いてください。



ここからが本題です。
「もともといくつかあったんだよね。□個とするね。それに2個を加えたら、どうなると思う?」と聞いてください。
子どもはわからないと思います。
そこで、先ほどの図を並べて、「3、4、5の部分が変わっているよね。いまは、□個だから、どうなると思う?」と言えば、子どももつぎのようにすればいいとわかると思います。



ここまでできれば「□+2=8」の線分図を描かせてみましょう。
まずは「□+2」の線分図を描かせてください。
あとは「これが全部で8」と言えば、つぎのように描けると気がつくと思います。



類題です。

(問)□+4=9の線分図の描いてください。


つぎのようになりますね。


【目標】□+2=8 のような式を線分図にできる

<補足>
大人はすぐに同じだと気が付きますが、子どもは(B)がわからないようです。今回のような未知数の問題を通して、少しずつ慣れさせると(B)もわかるようになります。きちんと訓練することをお勧めします!

「(A)2+□、(B)□+2」
「(A)50円もらってから30円使う、(B)30円使ってから50円もらう」


□−2=5の線分図の描きかた

紙につぎの図を描いてください。
「もともと8個あったんだよね。そこから2個をとったら、こうなるよね」と言ってください。



「じゃあ、残りはどこ?」と聞いてください。
子どもがわかってもわからなくても、つぎの図を描いてあげてください。



紙につぎの図を描いてください。
「もともと7個あったんだよね。そこから2個をとったら、こうなるよね」と言ってください。



「じゃあ、残りはどこ?」と聞いてください。
子どもがわかってもわからなくても、つぎの図を描いてあげてください。



紙につぎの図を描いてください。
「もともと6個あったんだよね。そこから2個をとったら、こうなるよね」と言ってください。



「じゃあ、残りはどこ?」と聞いてください。
子どもがわかってもわからなくても、つぎの図を描いてあげてください。



さて、ここからが本番です。
「□個あったんだよね。そこから2個をとったら、どうなると思う?」と聞いてください。
今までの話ができていれば、つぎのように描くと思います。
もし、わからないようなら「8個から2個をとった場合の線分図」「7個から2個をとった場合の線分図」「6個から2個をとった場合の線分図」を並べるとわかると思います。



「じゃあ、残りはどこ?」と聞いてください。
子どもがわかってもわからなくても、つぎの図を描いてあげてください。
これも「8−2」「7−2」「6−2」で描いた図と並べるとわかると思います。



これで「□−2=5」の線分図が描けるのではないでしょうか。
子どもに描かせてみましょう。

「□から2とった残りが5」とわかれば、答えは以下だとわかると思います。



類題です。

(問)□−3=8の線分図の描いてください。

つぎのようになります。



【目標】□−2=5のような式を線分図にできる

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