中学受験の学校選び

「すこしでも偏差値が高い中学校」と思いがちですが、偏差値には気をつけなければなりません。ここでは、中学受験の学校選びについての記事があります。


中学校選びで気をつけたいこと

偏差値で中学校を選びがちですが、3点、気をつけたい点があります。
ここではその3点について紹介します。

入口偏差値が低いが出口偏差値は高い中高一貫校のカラクリ

つぎのように言われることがあります。
このカラクリです。

中高一貫校Aは、中学受験の偏差値50と入口の偏差値は高くないのに、出口である難関大学の合格実績が素晴らしい。お得な学校とされている。


中高一貫校Aにはつぎの2つのコースがあります。

・普通科 → 偏差値50
・特進コース → 偏差値60

中学受験で偏差値が高い子どもは、特進コースに入ります。
その後もその子どもたちが、学内のトップ層を独占します。
で、大学受験を迎えると、トップ層が難関大の合格を手にします。

つまり、難関大の合格実績は、入学時に偏差値60で、その後、特進コースの子どもたちのものであって、その中学校全体の話ではないのですね。
「偏差値50だけど、大学の合格実績はすごい!」と思って中高一貫校を選んだのに、実際は難関大に合格できているのは特進コースの生徒ばかりで、ほとんどの生徒は偏差値が高くない大学に進学していた――そんな可能性があるわけです。

これに関しては、つぎのような記事もあります。

・私立の中学校は、かならずしも偏差値で、はかれるものではない
(例)「なぜ愛知の東海中学は日能研偏差値58なのに毎年国立医学部合格数全国1位なのですか?」
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11149057411

よく考えれば当たり前の話ですが、案外、気がつかないようです。

偏差値が、実は見せかけの偏差値の可能性もある!

「世間では偏差値65とされているが、実際は偏差値55程度」のようなことがあります。
なぜこのようなことが起こるのでしょうか。

腕試しとして有名な中高一貫校A。
・本命の最難関中の受験のまえに腕試しとして偏差値70を超えるようなトップ層も受験、当然、合格
・塾では合格者の偏差値から中学校の偏差値を算出する。その中学校の偏差値は偏差値65となる
・偏差値70を超える生徒は入学しない。入学するのは偏差値55ほどの子どものみ

かくして偏差値だけが高い現象――たとえば「偏差値65の中学校なのに、大学の合格実績があまり良くない」のようなことが起こるわけですね。
この件に関しては以下のような記事もあります。

・「バブル偏差値」の中学校もある
https://bunshun.jp/articles/-/9563

中学受験を経験していないとわからないですよね。

大学受験の合格実績にはタイムラグがある

中学受験と大学受験とのタイムラグがあります。これが中学選びに影響します。
どういうことでしょうか。

自分の子どもにとっては、いまの大学の合格実績は数年前のものになります。
いまは「難関中」「バブル偏差値」などと言われていても、それが子どもの受験のときにはどうなっているかわからなわけですね。

(例)「2022年の大学合格実績が素晴らしい! 中学受験の今の偏差値は50なのでお得だ!」
→2022年の生徒が中学受験をしたのは6年前の2016年。2016年は偏差値60だった
→今、入学しても6年後の大学合格実績は良くないかもしれない

ちなみに、中学受験は人気に左右されるので偏差値が乱高下する場合があります。

高校受験しか経験していないひとが注意すること

高校受験しか経験していない場合、注意することがあります。
それは中学受験の難易度です。
高校受験のときの偏差値で考えてしまい、難易度を見誤ってしまうのです。
どういうことでしょうか。

偏差値は単純に比較できない

中学受験、高校受験も「偏差値という数字」で学校のランキングがつくられているため、つい比較してしまうかもしれませんが、母集団がちがうため中学受験と高校受験の偏差値は単純に比較できません。
どういうことでしょうか。

【試験A】100人みんなが勉強していないなか50の努力で勉強。上位になって高偏差値になる
【試験B】100人みんなが猛勉強していないなか50の努力で勉強。しかし、その程度の勉強では下位。偏差値は低い
→同じ労力なのに、試験Aだと高偏差値、試験Bだと低偏差値!

一般的につぎのように言われています。

・中学受験は成績が良い層が多い → 上記の試験Bのようなもの。偏差値が低く出る
・高校受験は成績がよくない層も受験 → 上記の試験Aのようなもの。偏差値が高く出る

ただ――。

中学受験は関西では3科目、関東でも4科目が主流です。
一方、高校受験(公立)は5科目で副科目まで評価の対象です。

単純に試験の難易度は比較できませんが、単純に偏差値で比較することもできません。

高校受験組は中学受験の難易度を見誤る

高校受験で高偏差値だったかたなら、「中3から受験勉強をはじめても猛勉強すれば偏差値70の公立高校に合格できる(内申書が良ければ、の話)」はわかると思います。
その感覚で中学受験の偏差値表を見ると、つぎのように中学受験の難易度を見誤ります。

「小6から受験勉強をはじめても猛勉強すれば、筑駒中、灘中、開成中に合格できるんじゃないの? 公立のトップ校は偏差値70と同じくらいだし、高校受験のほうが科目数が多いんだし」
→小6から勉強をはじめて最難関中に合格できるのはリアルの天才だけだと思います。

どのくらい難易度がちがうのでしょうか。
受験算数と中学数学の比較です。

【中学受験】中学受験の偏差値50(四谷大塚)
【高校受験】公立高校の入試問題の偏差値60
→だいたい同じくらいの難易度!

算数と数学で比較すれば中学受験のほうが難易度が高いです。
また中学受験では子どもの心も成長しきっていません。
中学受験は「高校受験のときの偏差値+10」くらいで考えるとちょうどいいかもしれません。

中高一貫校の難易度は何を指標にすればいいのか?

偏差値がアテにならないとすれば、中高一貫校の難易度は何を指標にすればいいのでしょうか。

大多数は大学受験を目的としているので、「東大合格実績ランキング」で比較するといいと思います。

<東大合格実績のランキング>
・御三家
・公立のトップ高校
・難関私立一貫校

中学受験での御三家の偏差値は70ほど。
高校受験でのトップ公立高校の偏差値は70ほど。
しかし東大の合格実績のランキングは御三家のほうが順位が上になっているので、トップ公立高校よりも御三家のほうが難しく、受験対策に時間がかかるのではないか、と考えるといいのではないでしょうか。

中学受験の価値とその後について

難関の中高一貫校は「同級生という環境」が整っているのは確かですが…。

・中学受験は、大学受験の前哨戦に過ぎない
・難関の中高一貫校に入っても、鉄緑会に通塾するケースが多い

難関中高一貫校の大学合格実績が良いのは、子どもの才能や意志、鉄緑会のような塾や予備校のおかげではないの、学校は関係ないのではないの、と思わなくもありません。
また、そもそも猛勉強する意味を見出しにくい世の中です。
たとえば、以下。

・医者余りの未来

「中学受験で難関校を狙う=難関国立大の医学部を目指す」ということだと思いますが、幼児期の公文式からはじまり、大学受験の鉄緑会まで勉強漬け、数百万円の教育資金もかけて、ようやく医者にしたとしても医者は2040年に余るらしいし(ほかのブログの情報)、AIで淘汰される噂もあります。
もちろん、子どもに「お金なんてどうでもいい! 医者になりたい!」という夢があるのならば医者を目指すのも良い選択肢と思いますが、そうではない場合は…。

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