模試と偏差値の基本(中学受験)

中学受験における、模試と偏差値の基本を説明しています。

<目次>
1.偏差値の基本
1−1.偏差値とは?
1−2.偏差値は母集団が大切
1−3.偏差値は「その模試での立ち位置」しかわからない

2.模試の意味
2−1.低学年から模試を受けさせるべきか?
2−1−1.低学年の勉強は中学受験とは関係がないので、立ち位置は意味がない
2−1−2.低学年は何もしなくてもできるようになることがあるから、弱点を見つけてもあまり意味がない
2−1−3.低学年で試験に慣れさせる必要はない
2−1−4.低学年で模試を受けさせる大きなメリット!
2−2.大手塾では中学年からテスト三昧<
2−3.高学年は模試

3.注意しよう! 塾によって模試の内容がちがう

4.模試の過去問は賢く利用しよう!
4−1.模試の過去問を使う場合のメリットとデメリット
4−2.模試の過去問が使えるケース、使えないケース(高学年)
4−3.模試の過去問が使えるケース、使えないケース(低学年、中学年)

5.模試で偏差値を高くする方法
5−1.まずは、模試の問題の難易度から偏差値50を予測
5−2.予測の補正
5−3.模試を分析すれば指針になる!


偏差値の基本

「うちの子どもは模試で偏差値60だったのに、別の模試を受けたら偏差値50しかなかったの。どうしよう…」

このように悩むかたがいるそうです。
しかし、偏差値とは何かわかっていれば、このように悩む必要はなくなります。
ここでは偏差値とは何なのか、ものすごく簡単に説明します。

偏差値とは?

偏差値は、平均よりも「どのくらい上なのか」「下なのか」がわかる目安だと考えればいいでしょう。

(例)
・平均点で偏差値50
・平均点より高ければ偏差値55、さらに高ければ偏差値60
・平均点より低ければ偏差値45、さらに低ければ偏差値40

さて、平均点ですが、同じテストでも、クラス全員が優秀なら平均点は高くなりますし、逆にクラス全員が勉強していなければ平均点は低くなります。
それと同じです。
偏差値も、つぎのようなことが起こります。

<同じ実力でも模試Aでは偏差値が高く、模試Bでは偏差値が低くなる例>
・模試を受けた子どものレベルが高い → 平均点が高い → 自分の子どもの点数は平均点より下になる → 偏差値45などとなる
・模試を受けた子どものレベルが低い → 平均点が低い → 自分の子供の点数は平均点より上になる → 偏差値55などとなる

同じ子どもなのに、模試Aでは偏差値が高いのに模試Bでは偏差値が低い理由がわかったのではないでしょうか。

ちなみに、中学受験の場合、サピックスや浜学園は優秀な子どもが多くて、他の塾と比べると偏差値が10ほどは低くなるといわれています。
※塾によってカリキュラムがちがうので、模試の内容も異なります。それも模試によって偏差値が異なる理由の1つです(後述)。

・サピックスや浜学園 → 偏差値50
・ほかの塾 → 偏差値60

日能研の模試で偏差値が高かったのに、浜学園の模試を受けたら…となることが多いでしょうね。

偏差値は母集団が大切

10人しかいないのに、「オレが一番足がはやい!」とドヤっても意味がありません。
一方、100万人のなかで一番足がはやいとドヤるのは理解できるのではないでしょうか。

模試も同じです。
受験者数が少ない模試だと偏差値の価値がありません。
受験者数が多い模試のほうが偏差値に信用できます。

あとは、受験者の質もあります。
たとえば、灘中を目指しているケースを考えてみましょう。

灘中を目指している子どもばかりの模試だと、その模試の偏差値は信用できます。
模試の順位がそのままダイレクトに入試の合否を表していると言っても過言ではありませんから。

しかし、10万人いても誰も灘中を目指していない、かつ、成績がよくない子どもたちばかりの模試だとどうでしょうか。
いくら模試で高偏差値をたたき出しても、信用できないのは容易に想像できます。

このように模試は母集団が大切です。
※ちなみに、模試の場合、受験者を母集団ともいいます。

偏差値は「その模試での立ち位置」しかわからない

偏差値でわかることは、マラソンでたとえると、その模試においてトップ集団にいるのか、ドベの集団にいるのかだけです。
つまり、偏差値は相対的な位置しかわからないわけですね。

だから、たとえば団塊ジュニア世代の偏差値と今の偏差値を比べることはできませんし(ただし、わかりやすい目安として比べることもあります)、ほかにも模試の過去問を入手してもその当時の子どもたちのなかでの立ち位置しかわかりません。

模試の意味

なぜ模試を受けないといけないでしょうか。
理由は3つあります。

1つ目の理由は、偏差値です。
模試を受けることで偏差値がわかる――つまり、マラソンでいえば、今、トップ集団にいるのか、ドベ集団にいるのかなど、どの集団にいるのかの立ち位置がわかります。ただ、本当の実力は同じ時期の模試を複数回受けないとわかりません。

2つ目の理由は、弱点の発見です。
総合問題なので、どこの理解が弱いのかがわかります。正答率を見るとさらに有意義です(※)。
※ただし、正答率があるかどうかは模試によります。正答率がない場合はこのページでは自分で分析する方法を使うといいでしょう。

3つ目の理由は、試験慣れです。
本番に力を発揮できない子どもこそ、積極的に模試を受けさせて試験慣れさせるといいでしょう。

ただ、これは受験期の話です。
学年によって少々事情が変わります。
というわけで、低学年(小1、小2)、中学年(小3、小4)、高学年(小5、小6)に分けて紹介していきます。

低学年から模試を受けさせるべきか?

低学年から模試を受けさせるべきでしょうか。
3つの理由で「受けさせても意味がない」といえます。
ただ、模試を受けさせるメリットもあります。

どういうことなのか、詳しく書いていきます。

低学年の勉強は中学受験とは関係がないので、立ち位置は意味がない

中学受験で実績がある大手塾「サピックス」の授業時間の集計です。

・4年次の376時間
・5年次の526時間
・6年次の1,011時間50分
※https://ameblo.jp/mari-miya617/entry-12345261558.html

合計、およそ2,000時間。
上記の授業時間はすべて中学受験に必要なものです。

小3までの勉強はどのくらい上記の時間に入れられるのでしょうか。
小4から入塾するのが一般的――すなわち、それより前は中学受験とは関係が ない、もしくは小4以降でも学習するということなので、ざっくりと全体の1パーセントくらいではないでしょうか。

中学受験の99パーセントの勉強はまだしていないのに偏差値を出して意味はあるのだろうか、と感じるのはわたしだけでしょうか。
低学年の成績が意味をなさないと思います。
そのような状況で、「立ち位置」を知ったところで意味はありません。

低学年は何もしなくてもできるようになることがあるから、弱点を見つけてもあまり意味がない

模試を受けると、どの程度理解できているのか弱点もある程度わかります。

しかし、前述の通り、この時期は内容があまりありません(量と質の両方)。
問題集から問題をピックアップして解かせてどこがよく間違えるのか、すなわちどこの理解が弱いのかを見たほうが有意義です。

また、低学年の場合、つぎのようなことがあります。

1..何度教えても理解させることができなかった。
2.仕方がなく飛ばして先に進める
3.ふと、上記1の問題を解かせようと思って解かせると、なぜか解けるようになっている

積み木でたとえると「何をしても積み上げていけなかったのは、まったく別のところにある積み木がなかっただけ」という感じでしょうか。

低学年で試験に慣れさせる必要はない

試験慣れですが、低学年で試験に慣れさせる必要はないのは容易にわかると思います。

低学年で模試を受けさせる大きなメリット!

このように低学年の子どもに模試を受けさせる意味は乏しいのですが、実は、たった1つ、大きなメリットがあります。

それは偏差値がかなり高いと、特待生など大手塾の優遇措置があるといわれていることです。
※模試で全国上位ならば声がかかるという噂を耳にします。

この時期は、マラソンでたとえると距離が短く競争相手がいないので全国上位もそう難しいことではありません。
それで優遇措置となればお得ですよね。

大手塾では中学年からテスト三昧

小3の学習内容は、低学年とほぼ同じです。
しかし、塾によっては小4の先取り学習をしているところがあります。

小4から受験に直結する問題を解きはじめます。
しかも、先ほどのマラソンでたとえると走る距離も長くなりますし、競争相手もそろそろ走りはじめます。

模試で立ち位置を知る意味合いがでてきますが、大手塾はテスト三昧です。
クラス替えもひんぱんにあります。
個人的には、大手塾で推奨されている模試だけで十分だと思います。

ちなみに、受験期でもないこの時期に、なぜ大手塾ではテストをひんぱんに受けさせているのでしょうか。

子どもの競争心をあおるためだと思います(個人的な見解です)。
実際に教えるとわかりますが、子どもの競争心をあおると熱心に勉強します。
大手塾はそれを利用しているのではないか、と感じます。

ただ――。

競争心をあおっていると、たとえば「転落したとき、受験どころではなくなる」などの可能性も否定できません。わたしの世代では「受験戦争」という言葉が使われていて自殺する子どもたちもいたようですし。
子どもへのフォローも忘れたくないものですね。

高学年は模試

小5、小6あたりから、それぞれの模試の特徴を把握して、定期的に模試を受けさせるといいでしょう。

注意しよう! 塾によって模試の内容がちがう

四谷大塚、サピックス、浜学園、日能研など、いろいろな塾が模試を主催していますが、模試の内容はちがいます。
模試にも塾の特色がでています。
たとえば、「塾Aの国語の模試は記述式の問題が多い、塾Bは少ない」のような感じです。

これも、模試によって偏差値が異なる理由の1つです。

模試の過去問は賢く利用しよう!

オークションサイト、フリマアプリを利用すれば模試の過去問を購入することができます。賢く使うと便利ですが、気をつけるべき点もあります。
ここでは模試の過去問を購入する場合について解説しています。

模試の過去問を使う場合のメリットとデメリット

模試の過去問を利用するメリットです。

・模試に受けに行くと1日つぶれますが、過去問だとその半分の時間で済みます
・模試は日程が決まっていますが、過去問だと毎日が試験日です。好きな時に受けることができます。
・飛び級での受験は禁止されている模試が多いのですが、過去問だと飛び級で受験できます
・模試は、たとえば「算数だけの受験」などができません。過去問だと算数だけの受験も可能です
・ひんぱんに模試はありません。たとえ、複数回、模試があったとしても、そのすべて受験するには時間とお金がかかります。一方、模試の過去問だと複数回を安価に受験することができます

デメリットです。

・自宅で解くので緊張感がなく、実力以上の点数になることもあります(子どもによります。うちの場合は実際の試験と同等です)。
・過去問だと平均点しかわからないものがあります。その場合は、偏差値が予測値になってしまいます
・平均点もわからない模試は、偏差値はわかりません

ここまで読むと模試の過去問は有用と思うかもしれませんが、使えないケースもあります。

模試の過去問が使えるケース、使えないケース(高学年)

高学年では、模試の過去問を利用する価値は低いと思います。
過去の模試の偏差値がわかったところでその年度の立ち位置であって、受験するときとはちがう可能性があるためです。
また、場慣れという点においても模試には勝てません。

ただ、目的によっては有用な場合もあります。

・実力を知るには同じ時期の模試を複数回解かないとわからない → 模試の過去問だと複数回解かせることができる。負担が大きい場合は、たとえば「算数のみの実力を知る」と算数だけの過去問を解かせることもできる
・時間配分の練習になる
・弱点は複数回の模試を解かないとわからないので、模試の過去問を複数回解かせることで「穴」を見つけることができる

模試の過去問、上手に利用したいですね。

模試の過去問が使えるケース、使えないケース(低学年、中学年)

低学年、中学年ではそもそも模試を受験させる意味合いは乏しいです。
しかし、やはりライバルがどのくらいできるのかを知っておきたいところです。その際に模試の過去問が使えます。

模試で偏差値を高くする方法

模試で偏差値を高くする「正攻法」を紹介します。
※我流です。

まずは、模試の問題の難易度から偏差値50を予測

模試の正答率があればここにある予測は必要ありません。正答率がない模試を想定しています。

まずは、成績が真ん中くらいの子どもの顔を思い浮かべて、その子が解けそうな問題は「易」、解くのに少し苦戦しそうな問題は「中」、解けないだろうなと思われる問題は「難」という感じで、それぞれの問題の難易度を設定していきます。
※もちろん適当です。
※教えた経験があれば、案外、正確に予測できますが、自分の子どもを基準にして想像して設定していけばいいと思います。

(例)
1(1)易
 (2)易
2(1)中
 (2)中
3(1)難

平均的な子どもはケアレスミスもして、「中」の問題も完答できません。
「こんな感じかなー」と予測します。
※これも適当です。

・ケアレスミスもあって「易」は8割
・「中」は7割
・「難」はゼロ
→これで平均点。偏差値50

ちなみに、模試に正答率があれば正答率を使うといいのですが、正答率がない場合もありますし自分の目を養ったほうが得なのでわたしはこうやっています。

予測の補正

模試を受験する子どものレベルで予測を変えます。
たとえば、サピックスや浜学園のようにレベルが高い子どもが多い場合は、先ほどの「易」「中」は満点、「難」は5割で、偏差値50くらいと補正します(ここも適当)。

ほかにも、模試にて、テキストと類似の問題が出題されていれば、その塾生がかなり有利になって平均点があがるので、これも補正します。

模試を分析すれば指針になる!

「まずは偏差値50を目指す→偏差値55を目指す」のように小刻みで成績アップを目指すと思います。
模試の分析をしていれば、つぎのような指針ができます。

・偏差値50を目指している場合
「『易』の問題を確実にとれるようにする必要がある。その問題はどこにあるかなー あ、テキストの基本問題と同じじゃないか。じゃあ、テキストの基本問題を完全にできるようにしよう」

・偏差値55を目指している場合
「子どものテストを見ると『易』は満点だった。『中』の正解を増やそう。その問題はテキストの練習問題にある。練習問題を徹底的に復習だ!」

このように親が模試を分析して、子どもの課題を見つけると、ジワジワ偏差値をあげることができると思います。

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